母に捧げるエッセイ

息子からお母さんへ感謝のメッセージ!

親孝行は日々の生活にあり!

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「帰りに発泡酒買ってきて〜」

まだガラケーが主流だった頃、
私の仕事が終わる時間を見計らい
母が私の携帯に電話をしてきます。

私は寄り道をせずに母から頼まれた
発泡酒・350mlを2本を買って帰宅。
私が玄関のドアを開けると
母が満面の笑みで出迎えくれます。

父と姉は、仕事で帰りが遅く
母と二人きりでの食事。
私は、家ではお酒を飲まないので
母一人晩酌です。

母は、さっそく「プッシュ!」と
発泡酒をコップに注ぎ、ひと口。
「あ〜幸せ〜」と言わなくても
母の表情で心の中がわかります。

我が家は、野球のシーズンになると
テレビで阪神戦を観ながら
食事をします。

当時の阪神は暗黒時代。
黙々とごはんを食べている私に
「あかんなぁ。点入らんなぁ」
と母が文句を言うと
私が「う〜ん。チャンスに弱いなぁ」
と返します。

ほろ酔いの母は、
不甲斐ない阪神の選手に呆れ顔で
煮魚を食べ、発泡酒をグイグイ。
酒の肴は、
"煮魚と弱い阪神の愚痴"
といったところ。

私が食べ終わっても
まだチビチビ発泡酒を飲む母。
時計を見て
「お姉ちゃん、遅いやん。
お父さんは、ええけど」
と帰りの遅い姉を心配しつつ
冷蔵庫から肴になりそうな物を取り出し
また発泡酒をチビチビ。

そうこうしているうちに玄関から
「ただいま〜」と姉が帰宅。

母がニコニコしながら姉に
「何か(肴)買ってないの?」
と期待を込めて聞きますが
姉は冷たく「ない!」と答えます。

母はしょんぼりして
姉のお茶碗にごはんをよそい
ついでに自分のお茶碗にも
ごはんをよそい
バリバリと漬物でごはんを食べて
母の食事は終了。

毎日、発泡酒を飲みながら
「あーだこーだ」と言っている母は、
なんだかんだ言って楽しそうでした。

私は、母の誕生日や母の日に
バッグやアクセサリーを
プレゼントすることも
ありませんでした。

ただ、そんな特別な日に
特別なプレゼントよりも
毎日、発泡酒を買って帰ることが
母の一番の喜び。

親孝行というのは、
日々の生活の中で
ちょっとした喜びを
与えることだ思います。