母に捧げるエッセイ

息子からお母さんへ感謝のメッセージ!

母のぬくもり

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寒い冬の朝、起きる時に
「あぁ〜布団から出たくな〜い」と
いい歳した大人が
子供のように駄々をこねてしまう。
困ったものです。

私は小さい頃、冬休みの朝。
隣で寝ている母が起きた後の布団に
潜り込んで眠るのが好きでした。

布団に入ると
フワァ〜っと母のぬくもりに包まれ
遠くのほうで
トントンとまな板の音を聞きながら
いつの間にか、夢を見ている。
至福のひとときです。

あれから40年が経ち、
そんなことをすっかり忘れていた私が
母を介護することになりました。

母は脳梗塞で右半身麻痺。
毎朝、ベッドから母の体を起こし、
抱きかかえて、車椅子へ移乗します。

ある寒い冬の日。
いつものように移乗しようと
母を抱きかかえた時、
「お母さんって、
めちゃくちゃあたたかい」
と感じた私は、
「そういえば、小さい頃。
お母さんの布団で眠るのが
好きだったなぁ」
と当時のことを思い出しました。

40年も経っているのに
母のぬくもりが蘇った瞬間です。

人間は、不思議なもので
小さい頃の体験は、
何十年経っても、記憶に残っています。
そして、ふとした瞬間に思い出す。
人間の体と心の記憶力は凄いですね。

だから、寒い冬の日に
なかなか布団から出られないのは、
母親のぬくもりがいつまでも
体と心に深く記憶されていて
母親から離れるのを拒否している。
それは、母親の胎内からの
記憶かもしれません。

そう思うと、布団から
「オギャー!オギャー!」
と泣いて出るのがいいのかもしれない。

私たちは、それだけ
母親から愛情という
ぬくもりを注いでもらい、
それを充分に受け取り生まれ、
人間として成長し、
生きているということだと思います。

介護をしている時に
そういうことを
思い出したということは、
「母親から注がれた愛情を思い出せ!」
という、神様からのメッセージ
なのかもしれません。

私は毎晩、布団に入ると
「お母さんありがとう」
と心の中で唱えて
ぬくもりを感じながら感謝して寝ます。

そうすると、子供の頃に感じた
安心感に包まれ
ぐっすりと眠れるんです。

でも、朝起きる時に
「あぁ〜布団から出たくな〜い」と
子供のように駄々をこねてしまう。
困ったものです。