母に捧げるエッセイ

息子からお母さんへ感謝のメッセージ!

レシピは母の背中

f:id:satoya888:20240226171625j:image

私が小さい頃、風邪を引いた時、
母がおかゆを作ってくれたことを
今でもよく思い出します。

熱が出ている私は、
自力で食べることができず、
母が熱々のおかゆをフーフーして
食べさせてくれました。

あのとろーりとしたおかゆは、
母の優しさが詰まっている。
シンプルな料理だけど
私は、最高のおふくろの味だと
思っています。

あれから40年が経ち、
私は、認知症失語症脳梗塞
右半身麻痺になった母の介護を
することになりました。

脳梗塞の影響で、飲み込む力が弱く
柔らかい物しか
食べられなくなった母には、
おかゆが一番!」
ということで、人生で初めて
おかゆを作ることにしました。

レシピは、
おかゆを作っている"母の背中"です。

私は、せっせと動いている母を
思い出しながら
鍋に適当な量の水とご飯を入れ
弱火でグツグツと炊きました。

途中、水を足し、
「これでええんかな?」
とブツブツ言いながら
かき混ぜているといつの間にか
おかゆらしくなっている。

30分程経ち、
とろーりとしてきたので
「もうええやろ〜」
と味見をしてみると
「あっ!懐かしい!」
と小さい頃を思い出しました。
さっそく、私はおかゆを母の所へ。

利き腕が麻痺をしている母は、
自力で食べられず、
私が熱々のおかゆ
フーフーして食べさせます。

ひと口食べた母は、
「ウェ〜ン」と泣き出しました。
言葉を発することができない母から
感想を聞くことはできません。
でも、母の表情を見ただけで
わかりました。

そして、あっという間に
お茶碗いっぱいのおかゆをペロリ。

私は、お茶を飲ませながら
満足そうな顔をしている母を見ていて
おかゆひとつで
「こんなにも愛情が伝わるんだ」
と感動していました。

「子供は親の背中を見て育つ」
と言いますが、本当にその通りです。
言葉はなくても心は通じます。